東京高等裁判所 昭和32年(う)2646号 判決
被告人 北代幸与
〔抄 録〕
弁護人の控訴の趣意について。
すでに被告人の控訴の趣意について説示したとおり、原判決には何等事実誤認の疑はないからこの点に関する論旨は失当である。
次に児童福祉法第三十四条第一項は、何人に対しても同項各号の行為をすることを禁じた規定であつて、所論のように児童と上命下従等の特定の身分関係を有する者のみに対する禁止規定でないことは、右規定の解釈上明白であり、また右規定においては、満十五才に満たない児童を対象とする場合には、同項第三号、第四号、第五号のように特にその旨を明定しているに拘らず、同項第六号においては、児童の年令に何等制限を設けていないのであるから、同号の児童とは、同法第四条に規定する満十八才未満の児童全部を指称するものと解すべきである。それ故仮に被告人とH子との間に所論のような身分関係がなかつたにしても、原判決が被告人の満十八才末満のH子に淫行をさせた本件行為に対して、児童福祉法第三十四条第一項第六号、第六十条第一項を適用したのは正当といわなければならない。所論は独自の見解をもつて右規定を解釈し、原判決を非難するものであつて、この点に関する論旨も理由がない。
(中村光 滝沢 久永)